信心とお料理と
金光教の教祖さまがお参りしてきた人にお話しした内容を「み教え」といいます。
いろいろな「み教え」がありますが、あくまでも誰か個人に向かってお話しされた内容です。
短気な人、傲慢な人、気弱な人、心配性の人、楽観的な人、遠慮がちな人、怒りっぽい人など、それぞれに合わせた教えをされていますので、教えのすべてが今の自分に当てはまるかというとそうでもないのですね。
教典を読んでも、み教えを読んでも、知っているだけでは意味がありません。自分に必要なみ教えをしっかりお稽古して身につけていくことが大切です。
◯
教祖さまの孫に当たる三代金光様が「一か条にても、教祖生神金光大神様のみ教えを守らせていただければ、けっこうであります」という言葉を残しておられます。
ひとつでも心に食い込むほどお稽古をして、身になっているということが大切です。
料理のレシピに似ているかもしれません。
たくさんレシピを知っていても、一度も作ったことがなければレシピを知っている意味がないですよね。
私はたまにお菓子やジャムを作るのですが、お菓子はレシピを読んだだけではうまく作れないことが多いと感じています。
例えば、お菓子のレシピによく「常温に戻す」とあるのですが、真冬や真夏にお部屋と同じ温度に戻すと失敗することがあります。実は、お菓子のレシピの「常温に戻す」は20〜25℃なので冷暖房での調節が必要です。
「生クリームを泡立てる」も、適温(3〜7℃)でないとなかなか泡立たないんですよね。ボウルや泡立て器にちょっとでも水滴や油がついていても泡立たない。
こういうことは実際に料理を作って、失敗して、勉強して、実践して、うまくいったり失敗したりを繰り返しながら感覚を身につけていくしかありません。
「◯℃に設定したオーブンで◯分焼く」
と書かれていても、オーブンによって全く個性が違うのでレシピの写真と同じように焼けないこともよくあります。自分のオーブンの性質もよく知っておかないといけません。
レシピを知っているというだけではなく、失敗と実践を繰り返して、やっと美味しいお料理を作れるようになるんですね。
そして心も体も喜ぶ。
自分も嬉しいし、他人を喜ばせることもできる。
◯
ちょっと話がそれますが、Eテレで放送されている「ブリティッシュベイクオフ」が好きでよく観ています。イギリスいちのアマチュアベイカーを決める料理コンテストで、毎週パンやお菓子の課題を制限時間内に作らなければなりません。出場者は年齢も性別も職業もバラバラで、アマチュアですから皆さん料理で生計を立てている人ではありません。
「家で何度も練習してきたのに、今日はうまく焼けない」
「レシピにジャムを作るとしか書いてない。ジャムってどうやって作るの?」
「(パン生地の)発酵が足りない」
普段から失敗と実践を繰り返して、どんなオーブンでも、どんな温度、湿度、状況でも、臨機応変に対応できる力を身につけているか=実力を試されているんだなぁと感じます。
◯
み教えも同じことで、自分の血肉になり、どんな状況でもそのみ教えを実践できるということが大切です。自分の生き方に根付く。自然にそういう生き方ができるようになる。
私自身も失敗とお稽古の繰り返しでした。
無理をするなというみ教えをお稽古しつつも、無理をして心や体の調子を崩したり。何度も後悔したり反省しながら、何度でも神様と一緒に生き方のお稽古をさせて頂く。
そのお稽古こそが信心なのです。
そうしているうちに、少しずつ生きやすい自分になってくる。家族や周りも変わってくる。風向きが変わって来る。
下手でもいいから、諦めずに細くても長く続けることが大事ですね。
10年続いたら必ず結果はついてきます。
◯
今年も3分の2が終わろうとしています。
今年の年頭のみ教え=神様が自分に下さったお稽古課題をしっかりお稽古させて頂いて、身につけさせて頂きたいと思います。